この世界に神はいない。

思想

この世界に神はいない。

現象があるだけだ。

何かが起こるとき、背景には必ず原因が存在する。

それは物理的要因だ。

そこに神は介入しない。

そもそも神とは何だろうか。

人間という種族が絶対に到達できない次元に存在する主。

全知全能の畏怖すべき存在。

人々が崇めて祈願する対象。

総じて、絶対的な強権者。

それが神である。

だが、実質的に神は存在しない。

もし存在するとすれば、邪神だろう。

わざわざ全知全能な自分より遥かに劣る生物を創り、弱肉強食の自然法則を作った。

他生命を食すことでしか生きられない構造の生命体。

無知無能で利己的な不完全生物。

最期には病気となって死にゆく弱者。

それが人間である。

思考も至らず、経験も至らず、共感も至らず、苦悩する。

狭い世界で争い、搾取し合う人類。

病気の者が救われることなく、もがき苦しみ、そして朽ちてゆく。

その様子を傍観しているだけの神。

それはもはや存在しないに等しい。

人間にとっては只の邪神である。

人は弱者だ。

弱者は利己的にならざるを得ない。

余裕の状況が生まれるのは、体内環境と体外環境に恵まれたとき、そして自分に致命的な実害が発生しないときだけだ。

対岸の火事のときだけだ。

神にとっては人間世界の全てが対岸の火事である。

わざわざ人間を救うべき理由もない。

果てしなく広大な宇宙の中で塵のように小さい地球。

そこに住む生物群のうち、なぜ人間だけを特別扱いしなければならないのか。

その動機も存在しない。

他生物の死屍累々の上に成り立っているのが人類。

人は利己心の塊である。

むしろ、利己心こそが人間らしさだ。

人は無意識に暴虐の限りを尽くす。

他生物にとっては迷惑この上ない。

だが、人間の欲望は尽きない。

天災が起こると祈願もする。

それは神に対して自分の思い通りに成就するよう願う行為だ。

極めて利己的である。

人は自分の利益を最大化するために今を生きている。

常に何かしらの報酬を求めて今を生きている。

それが人間の動力源であり、生命源である。

地球という環境、宇宙という環境がそういう生物を創り出した。

神ではなく、現象が生み出した。

この世界に神はいない。

現象があるだけだ。