人間の欲求は文明進化の源だ。
技術進展は人類の快適生活化を推進していく活動である。
住居、自動車、電車、新幹線、船舶、飛行機、ロケット、人工衛星、情報通信。
それらは人間生活を快適快楽にしていくことが発想原点となっている。
我々は楽なことが大好きであり、大変なことが大嫌いだ。
人間は究極の面倒臭がりであり、我儘動物である。
だからこそ文明はここまで発展した。
徒歩が面倒臭くて消耗するからこそ室内に滞在したまま移動できる輸送機が開発された。
己が抱いた欲求に対して蓋をせずに利己心を発揮して行動を起こしたからこそ人間文明が繁栄したのだ。
人間は利己心の塊であり、それは地球生物として自然で健全で本質である。
我々は自分を最優先にして生活してきた。
もし自然界を最優先に据えていたならこうはならない。
我々が他生命を第一とする気質なら人間界はここまで開進していない。
祖先から現代人に至るまであらゆる人間が自分を中心として物事を考えてきたからこそ、人間界は振興してきたのだ。
今日に至るまで人は他者の感性と人生を実体験したことはない。
自我という概念が己の肉体から創られている以上、体が異なる他者の自我を100%の精度で実体験することは不可能だ。
他者の心情を押し測る際は自分の実体験と他者の感想に基づいて想像し、追体験という錯覚を体感しているに過ぎない。
その精度は60%が限度だろう。
人は他者を実体験できない。
つまり、我々は最期まで互いの深層を理解し合えないのだ。
人生は自分に始まり自分に終わる。いわば自我との心中である。
人は他者を見ているときその中に自分を見ている。
他者は自分という生命体を認識させる鏡面である。
他者を見れば無意識かつ瞬時に自分との類似点と差異点を感知し、他者を用いて自分を相対評価している。
人は自分という概念から離脱できず、自己中心的にしか感受できない。
他者を感じるにしても己の感性が拠り所であり、自己感性からは逃れられない。
人生は自己感性と一蓮托生である。
現在築かれている技術文明は人間が自己感性に基づいて自己中心力を発揮してきたから出来上がった。
すなわち、自己生命を第一優先とした利己心に基づく行動によって築かれた。
だが主作用として利己を追求すれば、その副作用として利他が付随する。
コロナウイルスが猛威を振るう現在。
自己生命を最優先として生活基盤を在宅活動に移す流れは、結果的に新次元の生活形態と世界環境を生み出す。
一部の業界では在宅活動が標準化していたが、今回の疫病蔓延を機に多くの業界が在宅勤務を業務形態として採用していくことだろう。
大事なのは、あらゆる現状を逆手に取って自分のために正方向に活用していくことである。
絶体絶命の危機こそ千載一遇の好機だ。
現にゲーム業界や動画配信業界はこれまで以上に利益を拡大している。
快適快楽を究極的に追求していく姿勢は人間の本能であり本質だ。
今後は在宅活動が標準化する。
それに伴い、人間と電子世界の接続環境はますます進展していく。
その流れは止められない。
人類の我欲こそが文明高進を導く。
私は欲求を発揮して快適快楽を極める。
